標準偏差の求め方
公式・計算例・nとn−1の違い
標準偏差は、データが平均の周りにどのくらい散らばっているかを、元の単位で表す指標です。

標準偏差の求め方は、平均を出す → 平均との差(偏差)を二乗する → 二乗した値を平均する → 平方根を取るという流れです。全員分のデータを扱う母集団か、一部のデータから全体を推定する標本かによって、分母を n または n−1 に変えます。この記事では、公式だけでなく点数の例、分散との違い、計算時の注意点まで順番に整理します。
結論:標準偏差は「偏差の二乗平均」の平方根
データを x1, x2, …, xn、平均を μ とすると、母集団の標準偏差 σ は次の式で求めます。
まず各データが平均から何点離れているかを調べ、その差を二乗します。二乗の平均が分散であり、その平方根が標準偏差です。したがって、標準偏差は元データと同じ単位で読めます。
たとえば点数の標準偏差なら単位は「点」、身長なら「cm」です。分散のままだと単位が二乗になるため、散らばりの大きさを直感的に説明するときは標準偏差のほうが扱いやすくなります。
標準偏差とは?平均からの散らばりを測る指標
平均が同じ2つのクラスでも、点数が平均の近くに集まるクラスと、低い点数から高い点数まで広がるクラスではデータの特徴が違います。この違いを、元の単位を保った1つの数で表すのが標準偏差です。標準偏差が小さいほど平均付近に集中し、大きいほど平均から離れた値が多いと読めます。
計算では、各データと平均の差を偏差と呼びます。偏差をそのまま足すと正負が打ち消し合うため、二乗してすべてを正の値にします。その平均が分散で、分散の平方根が標準偏差です。分散は単位が二乗になりますが、平方根を取ることで点数なら点、身長ならcmに戻ります。
| 記号 | 意味 | 計算での役割 |
|---|---|---|
xi | i番目のデータ | 入力値の単位と個数をそろえる |
μ / x̄ | 母平均 / 標本平均 | 合計をデータ数で割る |
xi−μ | 偏差 | 平均からの距離と符号を確認する |
σ2 / s2 | 分散 | 偏差平方の平均を表す |
σ / s | 標準偏差 | 分散の平方根として読む |
標準偏差の公式:母集団と標本で分母が違う
全員分・全件分のデータをそのまま説明する母集団では、データ数 n で割ります。
母標準偏差 σ = √σ2
一部の標本から母集団を推定する場合は、自由度が1つ減るため分母を n−1 とする不偏分散が基本です。
標本標準偏差 s = √s2

つまり、全数を記述するなら n、標本から全体を推定するなら n−1 です。問題文やソフトの設定にある前提を先に確認します。
標本で n−1 を使うのは、標本平均を同じデータから計算しているためです。平均との差の合計には1つの制約が生じ、自由に動ける値が1つ少なくなります。n で割ると散らばりを小さく見積もりやすいため、母集団の分散を推定する場面では補正します。
例題:8人の点数から標準偏差を求める
8人の点数が 42, 49, 55, 61, 64, 70, 73, 82 だったとします。ここでは、この8人を調査対象の全員とみなし、母標準偏差を求めます。
1. 平均を求める
合計は 496、データ数は 8 なので、平均は 496÷8=62 点です。
2. 偏差と偏差平方を表にする
| 点数 x | 偏差 x−62 | 偏差平方 |
|---|---|---|
| 42 | −20 | 400 |
| 49 | −13 | 169 |
| 55 | −7 | 49 |
| 61 | −1 | 1 |
| 64 | 2 | 4 |
| 70 | 8 | 64 |
| 73 | 11 | 121 |
| 82 | 20 | 400 |
| 合計 | 1208 | |
3. 分散と標準偏差を計算する
母標準偏差 = √151 ≒ 12.3点
この8人の点数は、平均62点を中心に、標準偏差約12.3点の散らばりを持つと読めます。同じデータを「学校全体から抽出した8人」と考えるなら、標本標準偏差は √(1208÷7)≒13.1 点です。データの意味が変わると分母も変わるため、計算結果だけでなく、誰を対象にした数値かを記録してください。
標準偏差の求め方5ステップ
- データを確認する:同じ単位の数値だけを並べ、欠測値や入力ミスを除きます。
- 平均を計算する:データの合計を個数で割り、母平均または標本平均を決めます。
- 偏差を出す:各データから平均を引きます。正負が残るのは正常です。
- 二乗して平均する:偏差平方を合計し、目的に応じて
nまたはn−1で割ります。 - 平方根を取る:分散の平方根を計算し、必要な桁数で丸めます。
途中の偏差を先に丸めると誤差が積み重なります。手計算では分数や小数をできるだけ保持し、最後の標準偏差だけを丸めると安全です。
計算前後に確認するポイント
まずデータが同じ単位か、欠測値や入力ミスがないかを確認します。身長と体重のように単位が違う値を1つの標準偏差に混ぜることはできません。日付やカテゴリを数値コードに置き換えた場合も、数値の大小が意味を持つかを確かめます。
次に、全数を説明したいのか、標本から母集団を推定したいのかを決めます。同じ数列でも目的が違えば n と n−1 の結果は変わります。レポートには使用した分母、平均、データ数、丸めた桁数を記録すると、後から再計算できます。
最後に、標準偏差だけで結論を出さず、平均、中央値、最小値・最大値、範囲も一緒に見ます。外れ値があると標準偏差は大きく変わるため、入力ミスか重要な観測値かを確認し、削除した場合は削除前後の値を併記します。
Excel・表計算ソフトで確認する方法
手計算の途中式を表計算ソフトで照合する場合は、データを1列に入力し、平均と標準偏差を別セルで計算します。母集団全体を扱うExcelの関数は STDEV.P、標本から推定する関数は STDEV.S です。Google スプレッドシートでも同じ関数名を使えます。
=STDEV.P(A2:A9)標本標準偏差:
=STDEV.S(A2:A9)ソフトの結果が手計算と合わないときは、範囲に見出しや空白以外の文字が混ざっていないか、母集団用と標本用の関数を取り違えていないかを確認します。表示桁数だけが違う場合は、内部値を残したまま最後に ROUND で丸めます。
計算機を使う場合も、入力した値、データ数、選択した分母を記録しておくと再現性が保てます。結果だけをコピーすると、後で母標準偏差か標本標準偏差か分からなくなるためです。
標準偏差の読み方と偏差値との関係
平均62点、標準偏差12.3点の集団で70点なら平均との差は8点です。標準偏差が小さい集団では同じ8点差でも相対的な位置が大きく変わります。偏差値はこの差を標準偏差で割り、平均50・標準偏差10に変換した値です。偏差値計算や基本統計量計算で数値を照合できます。
試験や資料ごとに母標準偏差・標本標準偏差の定義が異なる場合があるため、設定を確認してから比較します。
標準偏差の大小を比較するときの考え方
標準偏差が大きい集団は、必ずしも測定が悪いわけではありません。テストの難易度が違う、対象者の範囲が違う、または意図的に幅広い値を集めた可能性があります。平均や単位が異なる集団を、標準偏差だけで順位付けしないことが大切です。
平均に対する散らばりを比べるときは、標準偏差を平均で割った変動係数を使うことがあります。たとえば平均100・標準偏差10と、平均20・標準偏差4では、標準偏差だけなら前者が大きく見えますが、変動係数はそれぞれ10%と20%で、相対的な散らばりは後者のほうが大きくなります。
分布が左右対称か、外れ値が片側に偏っていないかも確認します。標準偏差は平均からの距離を二乗するため、少数の極端な値の影響を受けやすい指標です。中央値や四分位範囲を併記すると、分布の形をより正確に説明できます。
よくある間違いと注意点
- 偏差をそのまま平均する:正負が打ち消し合ってしまうので、二乗してから平均します。
- 分散と標準偏差を混同する:分散は単位が二乗、標準偏差は元の単位です。表の項目名と単位を確認します。
- nとn−1を無意識に変える:全数調査か標本調査かを決めてから式を選びます。ソフトによって表示名が異なる場合もあります。
- 外れ値を自動で削除する:極端な値が入力ミスか重要な観測かを確認し、削除前後の結果を比較します。
- 異なる単位を直接比較する:標準偏差の大小だけで、データの相対的なばらつきを判断しないようにします。
データ数が少ない場合は、標準偏差の数字だけで結論を出さず、元の値、中央値、範囲、箱ひげ図なども一緒に確認すると状況を誤読しにくくなります。
特殊なデータでの扱い
すべての値が同じなら、各偏差が0になるため標準偏差も0です。これは計算ミスではなく、散らばりがないという意味です。負の値や小数が含まれていても、平均との差を計算して二乗する手順は変わりません。
データが1個しかない場合、母集団として記述する母標準偏差は0ですが、標本標準偏差は分母が n−1=0 になるため求められません。標本として扱うなら、少なくとも2個以上の観測値が必要です。
欠測値を0として入力すると、実際には存在しない観測値を追加したことになります。空欄、NA、測定不能をどう扱ったかを決め、除外した件数と理由を記録してください。
FAQ:標準偏差の求め方
まとめ
平均との差を二乗して平均し、平方根を取るのが標準偏差です。全数は n、標本推定は n−1。確認には基本統計量計算、偏差値には偏差値計算を使えます。